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開墾と造成

2019/01/24 (Thu)

今年の冬は今のところ雪もわずか。
20190124-_PRD8869-kp-25 何ともさみしい感じです。
今年の開墾作業。通称1Me(一番メルロ)の西隣りの区画。
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 ここは長年森だった区画。適度に腐葉土が混じりとても良い土の状態です。
土地の形は、上に行くほどすぼまる直角二等辺三角形の様な形。
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 右側には御堂に続く小いさな林道があります。今は倒木で塞がっていますが、いずれ再び開通させたいです。
 左下にはワイナリーが見えます。
開墾時に伐採した木はなるべく、薪にしたり再利用したいものです。
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そして今開墾している区画から西に目を向けると
「御堂」地区の大規模造成が見て取れます。
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大型重機が幾つも働いています。
 僕らが行っている開墾作業とは大きく違うイメージ。
そんな中、葡萄畑のスタッフは黙々と剪定作業を進めています。
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ソーヴィニヨン・ブランの葉がまだ残っています。
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以前は小さな剪定ハサミを持ち、太枝切りバサミやノコギリを腰にぶら下げるスタイルでしたが、今は電動剪定ハサミを片手に、腰にはバッテリーのスタイル。
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電動ハサミの導入で圧倒的にスピーディーに作業が進むようになりました。
今年は雪も無く作業がはかどります。
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剪定の古い切り口が幾つもあります。数えてみると8年前の切り口も。
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昨年、春に芽吹き枝葉を展開し実を付け葉が落ち、冬には殆どの枝が処分されます。
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 葡萄は再生のシンボルの様に例えられてきた植物なのです。
竹林だった山も綺麗になり、来年にはつづら折りに葡萄を植える予定です。
20190124-_PRD8879-kp-25 苗木が植わり、葡萄の木々が育てば、プティ・エルミタージュ?かプティ・コート・ロティか?
冬は晴天率の高い東御の葡萄畑からも少しだけ富士が望めます。
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 千葉や東京に暮らしていた頃から、そして今でも富士が見える日は何か良い一日になるような気がします。
2006年に東御に移住してから、毎年新しく雑木林を切り開いては葡萄畑を作り続けています。
今年も新たに3つの区画を整備しています。これでいよいよ僕らの葡萄畑「十二平」から耕作放棄地が無くなる予定です。
 
そして開墾している十二平から西の方角に目を移すと谷を挟んで直ぐ目の前の高台に、大規模な造成工事が行われています。
そこは「御堂」と呼ばれる地区で、ワイン用ブドウを栽培するために27haに及ぶ整備が行われています。
そしてこの春には第一期工事が完了してブドウが植えられる予定です。
当社も来年完了の第二期工事の区画に葡萄を植える予定です。
 
しかし完成前だから何ともいえませんが、僕らが十二平で行って来た開墾とは全てが大きく違い、開墾?ではなく、造成?と言う言い方の方がマッチするような感じで、いろいろと複雑な心境です。
 
僕らが行って来た開墾作業とは、雑木を切り倒し、伐根して石や根を取り除き、長い年月を経て腐葉土の溶け込んだ豊かな土を平らにならすだけ、ただそれだけのこと。たまには暗渠排水を入れ地中の水はけを改善することもありますが。
しかし西に見える工事は表土を削り、岩盤を砕き、あっちの土地からこっちの土地に土を移し斜度を揃え、土手を盛る。
 
本来土地は長年少しずつ降り注いだ雨が小さな川となり斜面をつたい時には土を削りまた時には土を運び表土を形成して行きます。
しかし造成と呼ばれる工事は強引に土地を平らにし、失われた自然の小川の代わりに、ポリエチレンの排水管を設置したり、今ある小川までコンクリートで護岸を固めてしまいます。うねった自然の小川の流れと地下水脈や地中に水を溜める機能は失われ、人工物で出来た真っ直ぐな水の流れはコンクリート製の調整池を必要とします。
 
僕らの葡萄栽培を支えてくれる農地は元々は野で有り山で有り、そこの地力を、恵を利用させてもらっています。
開墾とは「山野を切りひらき耕して、新しく田畑とすること。」
造成とは「(自然に人工を加えて)あらたに作りあげること。」とあります。
 
農地はもっとシンプルでいいような気がします。コンクリートのビルを建てることとは違い、僕らの葡萄栽培はとてもシンプルな行為なのですから。