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春近し

2012/03/14 (Wed)

空気の密度を感じるような東御の冬景色。 
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2月の中頃から始めた剪定作業。そろそろ葡萄が目覚める頃、樹液の流動が始まる前には終了したいものです。
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剪定によって9割程の枝は切り取られ、燃やしてしまいます。
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パチパチと音を立てて燃える炎。そして煙の匂い。
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燃え残った灰は畑に撒かれ、枝に蓄えられていたミネラル分をもう一度、畑に戻してあげます。
 
良い葡萄を作らねばと前進して行くような夏の作業とは対称的で、冬の作業は穏やかで、心も安らかになります。
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3月も半ばになると、そろそろ苗木植えの準備に取り掛らねばなりません。
冬の間に十分に英気を養い、春が近づいて来ると、さあ、これからという気持ちが高まってきます。
しかし、なかなかそんな気持ちに従ってくれないのも自然です。 
  
すっかり溶けてなくなったかと思えば、また雪景色の繰り返し。
例年よりも降雪回数が多く感じられます。
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20cmは積ったでしょうか、土曜日の一日だけカフェをお休みさせていただきました。
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明けて日曜日は澄みわたった気持ちの良い晴天。 
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雪は止んでもしばらくは外での作業も中断です。
こんな雪の多い年はなかなか地面が乾かず、苗木植えの準備もはかどりそうにありません。
仕方ないので気持ちだけでも春の気配を探しに散策に出かけてみました。
 
照り返しが眩しい一面の雪景色。
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青く強調された空の色と、降り積もった雪とのコントラストが美しい。
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地面の雪は自然のレフ板となり、葡萄の木々をまんべんなく照らします。 
 
太陽の光が葡萄の幹を照らし、周りから雪が溶けて行きます。
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人工物の周りよりも早く溶けるような気がするのは、葡萄の幹が活動を始めているたからだろうか。
 
葡萄畑を登る急な坂道を軽トラックが登った跡に沿って歩きます。
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視界が最も開けるソーヴィニヨン・ブランの畑までもうすぐ。
 
上空ではいくつかの猛禽が求愛飛行を始めています。
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ノスリの求愛に割って入る黒い影。猛禽を見つけては追いかけ回す。
田舎のカラスは嫌いではないですが、うっとおしいやつらですね。
 
さらに上の畑へと歩けばピノ・ノワールの区画が見えてきます。剪定もあとはピノを残すのみ。
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車輪の跡の無い雪景色に思わず寝てみました。 背中に伝わる冷たさが気持ち良い。
 
魚の形。ここは雨が降るとちょっとした湧水が出るところ。
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地面の草も少しづつ緑色が戻ってきています。
 
そしてU字溝を流れる雪解け水。
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どれもが皆、春の足音に聞こえてきます。
 
降っては溶ける春の雪。 陽の光に温められた雪解け水は凍りついた地面を溶かし、地中に太陽の暖かさを伝え草花や葡萄の根に春が来たことを伝えます。
冬の間、枯れ草色だった地表には徐々に緑が戻り始め、落ち葉の裏や石垣の隙間で越冬していたテントウムシも活動を始めています。
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オオイヌノフグリは何よりも早く青い小さな花を付け、その周りをハナバチがせわしなく巡っています。
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生き物達は皆、春を、季節の移ろいを感じとり、太陽の恵みに従い逆らわずに生きています。それは生き物として当然の営みのようではあるが、現代を生きる人として私達はどうであろうか?人だけが季節に逆行しようが己の利便の為に生きている様に思えます。
 
現代人の生き方として物質の豊かさと溢れる情報を享受できることは喜ばしいことで有り、自身も望むことで有ります。
しかしワイン造りの根本を思い出して見れば、自然の力を借りてこそ成立し、自然の力をいかに引き出し、導くことが出来るかを問われる行為であります。
最新の醸造機器と最新の醸造学を備えていても、葡萄という自然が生み出す問いかけに、ワインという形で上手に答える為には、やはり、野に出て自然を愛でその営みや法則を理解し、感性を磨くことだと思います。
ワイン造りに携わることが出来たことの幸せは、自然を理解しようとする気持ちを育むことが出来たこと。自然に興味を示し、その美しさと奥深さにさらに虜になる喜び。アスファルトに覆われた世界で、デスクワークばかりではそうは行かなかったかもしれません。
 
・・・いずれにせよ、春は近くまでやって来ていて、次なるシーズンに向けて力がみなぎるのを感じます。それは造り手としてか、或いは生物としての本能なのか。とにかく嬉しい季節はすぐそこまで来ています。
 
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Cafe Rue de Vin (カフェ・リュードヴァン)
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Tel : 0268-71-5973

 
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