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冬の葡萄畑

2008/12/29 (Mon)

2008年もあとわずか、今年は僕らにとって特別な年と成りました。
一つは㈱リュードヴァンの設立、
もう一つは少量ながら初のヴィンテージ2007Chardonnayを発表できたこと、そして嬉しいことにこのワインが大変高い評価をいただいていること。
そしてもう一つ、秋にはシャルドネが本格的に収穫を迎えることが出来き、多くの皆様と収穫の喜びを分かち合えたこと。
会社を設立し、ワイナリー実現に向けて本格始動した一年でした。
振り返ると激動の一年でしたが、同時に喜びに満ちた年でもありました。

先日、久しぶりに積雪がありました。
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標高830m 今年植えたピノ・ノワールの区画。

今年は11月に一度まとまった雪が降りましたが、その後は積もるようなこともなく葡萄畑の冬支度も順調にはかどりました。
はかどるとは言っても根気の要る作業。事務仕事の多い僕はなかなか畑にも行けず、スタッフ一名とボランティアの方との作業が続きました。

11月に始まった藁巻き作業。
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冬の寒さの厳しいこの地域ではまだまだ細くか弱い葡萄の木に防寒の対策をとってあげなくては成りません。

晴天率の高い東御、雪は長続きはせず、翌日には陽の光が雪を溶かしてゆきます。
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しかし融け行く雪の上を吹く風はさすがに冷たく堪えます。
そんな12月最後の土曜日、およそ2ヶ月にわたった藁巻き作業もようやく終わりました。

約6000本に及ぶ葡萄の木、1本1本に藁を巻いて行く気の遠くなるような作業。
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スタッフ、ボランティアの皆様、本当にご苦労さまでした。

僕らの目指す世界はワインと共に生活できる環境を築くこと。
先日のTV放送(長野県内のみ)でも取り上げていただいて様に、今、この東御市をあげてワインの里つくりを応援していただいております。
ただそれには一から葡萄畑を作らなければ成りません。
そして葡萄畑を作るには広い土地が必要となります。
僕らの葡萄畑のある土地はもともとは林檎栽培の為に整備された土地でした。
しかしここでも多くの土地が後継者不足から放置され、雑草が生い茂り、やがては雑木林と化してしまった経緯があります。
そして2006年から徐々にこれらの雑木林を再び開墾し、少しづつ葡萄の木を植えてきました。

野ばらの実
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野ばらの実に似ていますが、ガクがあるのはツルウメモドキの実だそうです。
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この野ばらの生い茂る区画が今回の開墾予定地。
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人ばかりか獣までも立ち入ることを拒むほど。

そしてこの冬も地道な開墾作業が始まりました。
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雑木の枝が取り除かれた後、
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ワイヤーで繋がれたまま朽ち果てた林檎の木が幾つも現れました。

本来、林檎の木を支えるはずの支柱が今は…
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自然の木々の生命力の強さを感じます。

そして、大きな木々が茂るこの区画も今シーズンの開墾予定地。
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人の手の入らなくなった畑には、雑草が生え、野ばらのような低木が茂り、やがて大きな木々の林へと植生が移り変わります。

開墾には重機を使用します。木々はなぎ倒され、燃やされ灰となり再び土に返ります。
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20年以上の時間をかけて多くの動植物を育んだこの林、その時間の長さとは裏腹に、ほんの数日の作業で跡形もなく消えてなくなってしまいます。
圧倒的な重機の力を目の当たりにすると、開発と言う名の自然破壊によって今も世界各地の森が失われていることに心が痛くなります。僕らはここ数年の開墾を通じて人間の破壊力と自然のはかなさ、尊さを感じることが出来ました。
ワイヤーに繋がったまま朽ちてゆく林檎の木のように、人の手により栽培される林檎や葡萄は森では生きては行けません。僕らは雑草を管理し、土を作り、葡萄が生きてゆける環境を自らの手で維持しなければなりません。これは自然の循環に人が補助を加えなければ成らないということ。
原生林などの自然の森にはその循環を維持する力があります。
僕らの葡萄畑はその不完全な循環を、自然から学び敬意を払い、少しでも自然の循環に近づければと思い試行錯誤を行っています。
20数年の雑木林の生命の重さを、土に返ったその栄養分を、大切に葡萄へワインへと循環させていただきます。

数日後、重機の去ったこの区画。
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日の出から日の入りまでさえぎる物のない素晴らしい区画が現れました。
きっと、雑木林が育んだ栄養分とどこよりも豊富な日射量がきっと素晴らしい葡萄をワインを育んでくれるでしょう。

藁巻き作業を終えて、年明けの作業はまた人力作業が待っています。
重機の去った区画には、無数の大きな石や雑木の根が残っています。
重く湿った土を長靴に付けながら、これらの石や雑木の根を一つ一つ人の手で取り除いてゆきます。数年後には開墾の苦労も全て吹き飛んでしまうくらいに、葡萄の木々が広がり、当たり前のように収穫の喜びにあふれる日が来ることを夢見て作業を続けて行きます。

今年もまた多くの皆様に支えられて無事に作業を終了できたこと。そして新しい年を迎えられること、全てに感謝いたします。
2008年は僕らにとって大きな成果と自信へと繋がる年でした。
これからもワイナリー開業に向けて険しい道のりは続きますが、引き続き2009年もリュードヴァンをよろしくお願いいたします。

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㈱リュードヴァン 小山英明
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